2010年11月18日

また会おうね

葉.jpg


さてと!
ちょっと目を離したらすでに11月も半ば過ぎか・・・
木々の紅葉が遅いから気付かなかったじゃないか
イチョウ並木の下でぎんなんを拾う人達が居るのは知っていたのだが、つい最近まで夏だったような気がしていたからなぁ

でもあらためて空を見てみると確かに以前とは少し違う
雲が人恋しくさせるような顔をしてやがる。
せっかくこの国、この街に生まれたのに、時の流れを感ずることを楽しみ損ねるとは、なんてもったいない。
あたり前のように通り過ぎる日々に感覚が少し麻痺していたのかもしれない。

先日 用事があって江戸時代から続くある老舗の蔵元へ行ってきた。以前にブログでも紹介したのだが俺はここの酒がはんなりしていて大好きだ。そんなに大きくないし、みんなが知っているような蔵元じゃないけれど、好きな物に理由や説明はいらないよな。
前回訪れたのは5月だったから約半年ぶりだ。ここの酒造場にはタンクと出荷ラインの間に長机が置いてある。時間が空いた時に従業員の人達が集まる団らんの場で、みんなの楽しそうな声が聞こえてくる。
その日も何も考えずいつものようにそこへ入って行った。

あれっ?電気がついていない。大きな機械やタンクのある所にも出荷場にも人がいない。今一番忙しい時期なのに・・・ 静寂が続く。みんなで会議中? それとも今日は休日? しばらく敷地内をうろうろしたのだがやはり誰もいない。後ろ髪を引かれつつその場を後にした。しょうがないので次の用事を済ませ帰るつもりだったが、念のためもう一度そこへ戻ってみる事にした。

中に入ると人が居た!良かった、従業員のおじさんだ。
聞くと最近はみんな昼まで出勤で、午後から人は居ないらしい。生産調整・・・そんな事出来ないしな・・・ 不思議に思いつつ用事を済ませて少し話をしていたら、おじさんが はにかみながら、そしてうつむき加減に眼を逸らしボソッとこう言った。

「・・・」

えっ? 

あれっ? 本当は聞き直さなくとも俺の耳にはハッキリその言葉は残っていた。

「ここもう終わる事になってな」

「え〜っ!」

「・・・」

その後もおじさんと少し話を続けたが、正直内容は、あまりよく覚えていない。

帰り際歩きながら
「おじさん、俺ね、ここの酒大好きだったんですよ」

おじさんが 恥ずかしそうにそして照れくさそうに、でも少し寂しそうにニコっと笑ってくれた。

それでいいと思った。

いつまでも、あってあたり前だと思っていた物があっさり無くなった。

ふり.jpg


一人になって、少しだけおじさんが話してくれた内容を思い出した。
その酒は別の蔵元に引き継がれるらしい。
しかもそれは偶然その日の午前中に行った知り合いの蔵元だった。

生まれ変わるんだな
また新たな旅立ちだ。
良かった・・・
また会おうね


メディーック

相変わらず窓の外にはどんよりした雲が立ち込めている
でも遠くを見てみると、青空があるところが少し見えた。
posted by メディック | Comment(6) | TrackBack(0) | 救助日誌
この記事へのコメント
はじめまして。Moonです♪

イチョウの下でぎんなんを拾っているのを見られたのかと思いました。
ぎんなんのあぶり焼きが好きで塩を付けて食べるのが大好き。
もちろん日本酒がすすみます^^

老舗の蔵元がなくなるというお話し。
老舗の定義が崩されそうですね。
「仕似す」が語源だとか。。

先日、知り合いのお寺も取り壊すとのこと。
400年も続いたお寺なのにつぶせるかと驚きました
この時代何が起こるかわかりませんね。
古き良き時代の物達。
古い物が良いとは限りませんが、良い物だからこそ続いてきたんですよね。

蔵元オーナーにとっては悲しい出来事。
「「人生はアップで見ると悲劇だが、ロングショットではコメディだ。」の言葉を贈りたいです!? 

でもメディックさんの大好きなお酒にとっては
進化を遂げる変化の時。
新しいお酒になって飲める日が楽しみですね。

Posted by Moon at 2010年11月19日 23:21
はじめまして Moonさん!

えっ!イチョウの下でぎんなん拾ってたのですか? ^^
塩付きの温かいぎんなんいいですよね♪
今丁度その蔵元でもらった純米吟醸酒を冷で呑んでます。
あては無いですが ^^

老舗の語源は「しにす」ですか、知りませんでした。
古い物にはそれなりの良さがあります。
400年の歴史あるお寺がつぶされる・・・
それも時代の流れなのですかね・・・

「形あるものはいつか無くなる」のは理解しているのですが。
やっぱり寂しいですよね。

それにまさかよりによって一番好きな銘柄の酒が・・・
いや、でもおっしゃる通り、新しく生まれ変わってもう一度俺の前に現れてくれるだろうから。

その時は、古い友人に再会したように、笑って語り合う事にしますよ♪

あっ、人生ずっとコメディで行きたいです ^^

Posted by メディック at 2010年11月20日 00:13
毎年、冬になるとなんだか心がギュッと締め付けられたようになるとゆーか、なんとゆーか心地よい切なさを感じるのです。そんな冬が好きなんだけどね。

最近どんどん寒くなってきて、今年もそんな切なさを感じ始めたなーってゆーこのタイミングで、このお話はズッシリきたねー。ドーーンときましたわ、コレ。

物事にはいつか終わりがくるって理解はしてても、突然の幕引きは兄さんショックだっただろうなぁとか。

おじさんすっごくかなしいんだろうなぁとか。

兄さんの言葉に寂しそうに笑ったけど、本当は泣きたかったのかもしれないなぁとか。

ちくしょう、泣かせるじゃないか!



泣いてないけど。
Posted by ドラ at 2010年11月24日 16:29
ドラさん

切ないの大好き仲間がここにもいましたか
よかった。

実は何を隠そう(隠してない)
俺も切ないをおかずにご飯3杯はいけるタイプです♪

本当にその通り、まったくもって予想していなかった幕引きは・・・
少し、いや、随分ショックでした。(これマジ!テーブルに肘つくくらい)
恋人とのいきなりの別れみたいで ^^

おじさんの笑い顔
当然とても悲しそうな、すこし優しそうな、吹っ切れたような笑い方でしたよ。

でも 知り合いの酒造メーカーが引き継いでくれるのがせめてもの救いかな。

実は、別れた彼女が双子だったみたいで・・・
今度はその子とまた付き合い出して・・・

あっ これちょっと たとえ変だよね・・・
Posted by メディック at 2010年11月24日 18:14
こんばんは。
初めて書き込みを致します。
よろしくお願い致します。

老舗の蔵元さんがなくなるというお話ですが、
地方出身の私から見て、京都は歴史と伝統のある町と
同時にモノ作りが盛んな町だと思います。

衣食住にまつわるものから伝統的な老舗、
日本の工業の根底を支えるような町工場など・・・
本当にたくさんのモノづくりの現場があります。

そんな町でも、いろんな理由でその現場をやめざるを得ない、
という事態がここ最近、とても多いような気がしてなりません。

一つの現場が無くなるということは一つの技術が失われるかもしれない、
ということだと個人的に思います。

今回、メディックさんのお知り合いの蔵元さんは
他の蔵元さんに引き継がれるとのことで
寂しいことの中でも良かったことの一つだと思います。

やはり日本はモノ作りの国ですから
古き良き技術は継承され、新たな技術の誕生の源になって欲しいですね^^



Posted by ロータス at 2010年11月24日 21:11
こんばんは ロータスさん

こちらこそ よろしくお願いします。

ここの蔵元は文章にも書いたように江戸時代から続いていた老舗で
良き時代の伝統が垣間見れるような蔵元でした。

以前寄せてもらった時は、建物の中に水蒸気が上がり、
材料や容器を皆さんが手作業で運び出すような和気あいあいと
そして活気のあるところでした。

江戸時代から引き継がれたものが終わる。
ロータスさんに言われて、今 あらためて冷静に考えたら・・・ やっぱりさみしいです。

自分も何かの縁で京都に生まれ、育ちました。
大げさかもしれませんが、少しでも京都の文化と伝統が守られていくよう、頑張ってみます。

しいては日本の文化も守りますよ!

あの銘柄とラベル・・・も
そのまま引き継がれることを願っています。




Posted by メディック at 2010年11月25日 00:44
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